2017年7月
リゾートという表現されるにふさわしい街 カンクン。響きが良い。長い間、タランティーノ脚本トニースコット監督の「トゥルーロマンス」で繰り返されたカンクンという地名に、憧れていました。「ショーシャンクの空に」のジワタネホと同じように、どうもこのスペイン語の音が、どこかパラダイスを思わせます。きっと、アメリカ人にとって、メキシコへの逃亡と言うのが、新しい人生への第一歩の象徴として使われているのか。
カンクンもそんな街のはず。
しかしながら、現実問題、カンクンは世界各国の旅行者の保養地であり、想像のようなビーチやプールサイドでの優雅なカクテルを楽しもうと思うと、ホテルゾーンと呼ばれるオールインクルーシブ(食べ・飲み放題)のホテルに滞在するのが一般的で、一気に商業的な匂いが。コスパ良いよ、なんて声も聞くのだが、と言っても一泊のお値段はそれなりな訳で、そんな自分たちを甘やかす気分的な(金銭的な)余裕もなく、結局の落ち着きどころがホテルゾーンからバスで15分ぐらいのダウンタウンでした。
そこは、楽園的な要素は微塵もなく、ごちゃごちゃとしたメキシコの町。
こう言う、構図は世界各国、別の形を取りながら存在している。ヨーロッパでも城壁の世界遺産の町などにありがちですね。
何を観光に求めるのかで違ってきます。優雅な雰囲気の中、日常を忘れさせてくれるであろう時間を提供してくれるのはホテルゾーン滞在で間違いないのだが、カンクンという場所は観光地として十分発達しているので、郊外のスポットが主流となっていて、意外にホテルでのんびり時間を取っている暇もないのです。そこには自然や歴史など色々な側面から観光を彩ってくれる。
その流れで、ダウンタウンの方が町の特色をかんじられる生き生きとした生活感があります。観光客向けのマーケットはもちろん、大型スーパーマーケットでは、一般の家族連れが買い物を楽しみ、そこで生活をしている人たちの日常が垣間見える。そして、その日常は決して、日本の日常では無いのだから、そのギャップが実は日常から自分を切り離した異空間に誘ってくれるのではないかとさえ思えました。
3泊滞在して、中2日は一日中郊外へツアーに出ていたため、ダウンタウンのホテル付近でピックアップ、夕方にホテルゾーンで降ろしてもらうという流れで、ホテルゾーンを夕方から夜間にかけて散策するぐらいの遊び方もアリです。ホテルでゆっくりの時間がもったいですよ。