海外と日本での就業経験を比べてみました。
まず、103の経歴はこちら。アルバイトや派遣の短期のお仕事などは割愛して、年数は四捨五入しました。
日本 2社|4年
NZ 1社|1年
オーストラリア 2社|12年
それぞれ良い所、悪い所とありますが、今回は基本的な考えについて比較してみました。
必要条件 性別や年齢
オーストラリアの場合、性別と年齢を条件として採用をしてはいけないというルールがあります。自己申告で性別と年齢を伝えることは問題ないですが、面接者の方から尋ねてはいけません。もちろん、理由は均等な機会を皆さんに与えるためですね。
政府のサイトにも年齢、障害、人種と性別で差別をしないようにと明確に示されています。
一方、日本で現代においても驚くべきことに年齢制限を記載している求人を見かけます。
https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/other16/dl/index03_0002.pdf特に「3号イ」については、若年者を守るためということで年齢制限が許されている様です。
ここで、私がオーストラリアで見て来た人たちを紹介します。
ある70代中盤のオーストラリア女性は、もともと会計士でオフィスの仕事を長年していました。彼女は、老後、大型バスの免許を取得します。そして、正社員として企業に雇われ、乗客を乗せて毎日安全に運転をしています。不動産の所有もあるし、お金をかせがないといけないから働いているのでなく、働きたいという意欲から働いているのです。
私が一緒に働いて来たオーストラリア企業の他部門にいるマネジャーたちは、高学歴の人もいれば、大学へ進学せず社会にすぐに出て20代中盤ぐらいの若さで同等の職で働いている人もいます。年齢も学歴も関係ありません。同じ仕事をこなすのに20代もいれば60代もいました。
体力的、身体的な能力は年齢と性別によって違って来ますが、その違いを前提として人としての尊厳として年齢と性別でのふるいをかけることを禁じているオーストラリアは国として成熟しているのだと思います。
本当は、何歳であったとしてもチャレンジできる体制が好ましいですよね。例えば、20代を旅行に費やし、定職につかなかったからと言って、その後に仕事を得ることができない可能性があると思いながら若い時代を過ごしたくありません。知り合いのオーストラリア人でも50代でも20代の様に遊びに行っては働いてお金を稼いで、また遊びに世界に出る、なんて人が何人もいました。
前提として、何歳でも同じ条件で雇用される権利があるかないかによって、心のゆとりが全然違いますね。
新卒か経験者か 終身雇用について
(1) 新卒という仕組みは日本独特
確実に言えるのは、新卒枠の様なものが存在しないのがオーストラリアです。企業が、同じタイミングで大量に経験のないスタッフを雇うことはほぼないでしょう。
もちろん、条件として「経験がなくてもOK」の様な仕事はあります。なので、新卒の人はそう言った仕事を見つけることになります。
もともと、大学については、高校の後に当たり前の様に入学しないという選択肢もあります。一旦社会に出て、勉強をしたくなったので、大学に通うという人もたくさん見て来ました。
新卒枠で就職活動をしないと乗り遅れるため、留学もタイミングを合わせないといけないなど、日本の大学生は本当にプレッシャーのかかる大学生活を送る期間があります。勉強に集中できるのが一番だと思いますが、なかなか難しそうですね。
(2) 終身雇用という概念はオーストラリアにはない
オーストラリアの感覚に慣れてしまっていて、日本とのギャップに驚いているのが終身雇用の概念です。
「弊社ではどのくらい働こうと考えていますか?」
という質問に対してオーストラリアでは「1年は頑張って見て、そこから考えて行きます」という答えが面白いぐらいたくさん出て来ます。
これは、正直な感覚なのではないでしょうか?
まだ、働いていない企業で、一生働くことができると心から思える人は少ないと思います。仕事が向いているか、一緒に働く人と馬が合うか、他に挑戦したいことが出てこないか、などなど、働いてみないと言い切れない部分があるはずです。
もちろん、結果的に長く働いてもらえたらお互いにとって良い結果なのですが、オーストラリアでは2−3年で転職する人が多いです。それでも、企業としては満足という所が多いですし5年も働いていたら「大丈夫?」と心配さえされかねません。私の企業は、10年の間にCEOが4人も代わりました。平均2.5年!慣れたと思うころには転職です。
この感覚で日本で面接を経験してしまいました。もちろん、先方の答えは「すぐに(1年程度)やめてもらっては困る。長い間、働いてもらいたい」という答えです。1年で辞めるつもりもないのですが、今後一生働くかどうかの契約なんて出来るとは思えませんでした。
常にステップアップをするのがオーストラリアです。別業種でもなんでも、とにかく挑戦し続けます。裏を返せば、忍耐力がないのですが、それでも自分のやりたいことを見つけ気軽に転職もするし、それを受け入れる社会の度量もあります。
海外不動産投資にチャレンジ♪
終身雇用も良い面はあります。まず、仕事の補償がありますね。それがもしかしたらバブルの様なものかもしれませんが、少なくともなんらかの安心感があります。また、時間をかけて人を育てるという職人肌の人を生み出していけます。
オーストラリアは、とにかく少しかじっただけで満足する人が多いので、技術や経験の深みはないかもしれません。ただ、あるのは、即戦力である能力です。どこででも生きていける様な器用さが身についている人が多いので、企業が変わっても職種が変わってもかなり器用にすぐ仕事を身につける人が多いです。とにかくチャレンジ精神が旺盛だと言えますね。
有給休暇の取得の仕方
最後に、オーストラリアと日本の働くことへの価値観の大きな違いがあるのが仕事と休暇についての感覚です。
オーストラリア 有給4週間(1年)
日本 10〜20日(勤続年数で変化)
日本でも6.5年以上の勤続年数があれば20日の有給休暇がもらえます。オーストラリアの4週間と同等ですね。日本は毎年、半分の有給休暇の消化の義務と2年で消滅するという制度があるので、恒常的に有給休暇が消化できる体制が整っているべきですが、現実はいかがでしょうか?
オーストラリアでは、みんな本当にホリデーをとります。忙しくて働き詰めでお休みを取るタイミングを逃している人もいましたが、通常、企業の人事部から有給休暇を消化する様に促されます。そして、みんな4週間、国内をキャンピングカーでロードトリップをしたり、世界旅行に出かけます。もちろん、会社からの仕事の電話はかかって来ません。いつでも連絡しても大丈夫だよ!と言って出て行くボスもいますが、通常はそのボスの代わりに決定権がある代理の人がいるのでボスに連絡を入れなくても大丈夫な状態が作られています。
また、オーストラリアでは州ごとに制度は違いますが、勤続年数に合わせて別途有給休暇が発生します。それが、Long Service Leaveと呼ばれます。
10年の勤続年数ごとに、短いものでも8週間ほどのクイーンズランド州から、13週間のノーザンテリトリー州に至ります。これが、通常の有給休暇と別途授与されます。後は、職種で違ったりもするのですが10年働いて2−3ヶ月ものお休みが取ることができる制度から、いかに10年働く人が少ないかがわかるかもしれません。
ただ、オーストラリアの場合はボーナスという制度はあまり取り入れられていません。また、国民の休日だけ日付を比べてみたら2020年は16日(日本)と12日(オーストラリアNSW州:州ごとに差異あり)と4日も差があります。
有給についてさらに考察してみました♪
有給があれば世界一周も夢でない♪
実は制度としては、有給が20日+国民の休日数が多い+ボーナス数ヶ月分の支払いがある日本は素晴らしいのです。その恩恵が受けることができたらとても働きやすい国であることは間違いありません。
日本でしか働いていなければ、それが当たり前だと考えがちですし、もちろんオーストラリアでしか働いていないオーストラリア人は日本のような働き方の存在も知らずに生きています。2つの文化の下での働き方を体験することで、各々の取り入れたい点、改善してほしい点が見えました。
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