今回は、オーストラリアで家を購入するときのハードルを下げるMortgage(住宅ローン)のお助け制度のオフセット口座(オフセットアカウント)についてお話します。
オーストラリア不動産 ローンについて
ローンを組む 銀行か住宅ローン会社
オーストラリアの4代銀行がこちら。
ANZ|Westpac|Commonwealth|NAB
どちらの銀行も都市部だと問題なく支店もあります。僻地ではANZが強い様に思えますが、ただ、現代においては実店舗があまり必要とされない運営を各銀行もしていますのでさほど違いはありません。
また、住宅ローン専門のノンバンク系の会社が数多くあります。
入門編へ書きましたが、ここで頼れるのがモーゲージブローカーの役割です。自分ではどこでローンを組めば良いのかわからない中、的確な助言をくれます。
オーストアリア 不動産購入ステップ 入門編はこちら♪
オーストラリア住宅ローン 種類 変動金利VS固定金利
オーストラリアで圧倒的に人気なのは変動金利です。なぜなら、常に
- フレキシブルでありたい
- リスクも厭わない
というのが大きいですね。あまり、しっかりと何十年か金利が固定されてしまう事で融通が効かなくなる状態が好きではないのがオーストラリア人。実際、リーマンショックやコロナショックなどで金融市場が一変する様な状況が起こります。その時、大きな損があることに多大なストレスを感じるでしょう。
ただ、日本人は固定金利の方が心が休まる可能性も高いですね。
オーストラリア住宅ローン オフセットアカウントVSリドロー
ローンを組み易くしてくれる2つのタイプの助っ人システムがあります。どちらも、基本的には、今後の人生設計の中で突然やってくるかもしれない出費などに備えることができる仕組みなので、取り入れている人が多いです。
もしかしたら、オーストラリア人としては、日本人が考えそうな「病気」「失業」など何かとネガティブなタイプの転機に備えるというより、「新しい車が買いたい」「旅行に出たい」など別の購買欲求を満たすことができる準備かもしれません。
ローンとは別に紐付け口座を作って、そこで現金を増やす事で利子を下げる仕組み
決まった返済額よりも多く返済する事で、余分な返済額を引き出せる仕組み
要は、銀行への返済額プラス余裕がある額に常にアクセスが可能だという事です。貯金にあまり興味のないオーストラリア人にとって、その貯金部分をどの様に運用するかということかもしれません。
日本だと、返済額以上にある余裕のお金は大事に貯金するのでしょうが、オーストラリア人は使いきる可能性もあります。なので、この様にその余裕な部分を銀行なりの住宅ローンと組み合わせてちゃんと手が出せる状態にしておくと安心ですよね。
私の場合は、モーゲージブローカーさんおすすめの銀行系のローンがオフセットアカウントを設定してくれたのでそちらについて詳しく見ていきます。
オフセットアカウント 仕組み
各国、さらに言うと州ごとに制度が違う可能性がある不動産分野。今回は、オーストラリア限定の話です。
一般的な大手銀行の住宅ローンを組んでいる場合、固定か変動かでレートに違いがああるものの大体2−4%の金利が妥当かと。その中で、その住宅ローンと紐付けしてオフセットアカウントと呼ばれる口座を持つ事ができます。オフセット口座の年間費がA$400ぐらい必要になる事が多いです。この口座の役割が面白くて、ローンの金額を減らす事が出来るのです。
メリット
- (ローン額➖オフセット口座額)❌ 金利2−4%=利子額が減る
- 入出金自由
デメリット
- 年間費がA$400ほど必要
- オフセット口座には利息がつかない
- 現金資産運用チャンスロスの可能性
例えば、
A$200000のローンを30年で組んだ場合
- 利子のセーブ:オフセットアカウントに常にA$50000入金→ローン期間中トータルで$92,255.69の利子がセーブ
- ローン期間のセーブ:30年→22年4ヶ月(7年8ヶ月短縮)
つまり、
ローン総額($200K)ー オフセット口座にある金額分($50k)=残りの$150K✖️金利
このオフセット口座とは、例えば上の例から言うと、$50000の現金を常にこの紐付け口座に入金しておくことになります。この口座自体には利息はつきませんので、ただその現金がそこに座っている状態です。引き出しも入金も可能。だから、給与の振り込みなどもオフセットアカウントを選べばいいし、また普通使いで利用可能です。ただただ、その口座に現金がたくさんあればあるほど、ローンの支払いに対する利子がお得になるのです。200Kに対して4%払うより、150Kに対して払う4%の方がお得だから。
現実問題、口座維持費の年間費用もかかるし、その$50000を使って他の方法で運用したほうがリターンが高くなりうるチャンスロスだと考えることもできます。
また、そのローンを組んでいる物件自体が自分の住処でなく家賃収入があるものだったとしたら、利子部分は、タックスリターン(日本の年末調整のような物) でそもそも経費として利子は落とせます。要は、家賃収入から経費をマイナスできるので、課税部分が減ることになります。
よって、利子を支払う事で税金対策になると言うような面もあるのですが、他の場合と比較することを取っ払って、ただ単に紐付け口座を持つか持たずにそのまま普通口座に置いておくかを比べたら、オフセット口座を持っていた方がお得になる事が多いのです。
もちろん、初めから$50000を支払いに使い、ローン額を減らすという方法もあるかと思うし、ローンが嫌だなという感覚を多くの日本人の方がお持ちかとおもうので、あとは精神論的な問題もあるかもしれませんが、手もとに$50000を持っておく事が出来る方が、現代には安心要素を高めるのでは無いでしょうか。
前述の通りこのオフセットアカウント内のお金は常に引き出せますので、出費がかさむとき、例えば仕事を失うとか生活環境が変わるとかそいう言った事で自分の自由になるお金を自分の口座内に持っていると言うのは安心感があります。その口座に手をつけたとしても、ローンの額が増えることで毎月の利子の額の割合が高くなることにはなるのですが、支払いの期間が長くなる結果なので、そういった緊急でお金の工面が必要になったときに自分で解決できるアイデアはとても気に入っています。
オーストラリアで生活していると、お金を上手く運用していく事が、それが例えローンと言う形でも悪い事では無いと考える事ができます。長期的に計画し、今何がベストかを臨機応変にとらえることが出来る術なんだと思います。そのなかでオフセット口座の仕組みはとても有効な手段なので、気に入っています。
メリット・デメリットを考えると、メリットの2点がデメリットがあったとしてもその仕組みを大変魅力的なものにしてくれています。
オーストラリアでは一般の人も専属のファイナンシャルプランナーに資産運用を頼む事がありますので、もっと効果的なお金の動かし方があるに違いないとは思いますが、自分のような素人でもハードルが低いのがこのオフセット口座を持つという方法だと言えます。