アマゾンプライムでたまたま見た映画ですが、これが大変素晴らしい希望に満ちた素敵な映画でしたので考察して見たいと思います。ネタバレになってしまう表現もありますが、この映画、あらすじだけを伝えても絶対魅力的に感じないと思います。だから、ギリギリなところでなるべく核心には触れずどういった人たちに見て欲しいのかをお伝えいたします!
希望に満ち溢れた映画 40代の冴えないおじさんが主人公
まず、一般的なコメントに「ハッピーエンドではない」「暗い」「希望がない」的なネガティブな意見がありますが、私たちGetbusylivinworldはむしろ「希望に満ちた」映画であったと信じています。
人それぞれの尺度で幸せは決まるはずです。主人公のフーシは社会的にみると外見も見劣りし、コミュニケーション能力も低く、社会的に成功している人間ではありません。
ただ、そこに幸せを感じることが成功だとフーシは決して思ってはいない。むしろ、趣味のジオラマがあり、口数の少ないでも信頼できる友達がいて、お節介な母親とその恋人がいる。それが、フーシにはある程度の満足の行く日常だったのではないでしょうか。むしろ、そんな些細な日常の「これも悪くない」と思わせる要素があるフーシに、Getbuylivingworldは負け組的な一方的なネガティブ感は感じませんでした。
金銭的な成功や、社会的な地位、毎回上司の悪口で盛り上がって飲み明かす様な職場の友達。周囲から見て恥じることのない成功と言えるかもしれません。
しかし、そこに実際は虚しさを感じる人が多いからこそ、現在も進行形で続く日本の閉塞感があるのだと思います。
フーシの様な環境の日本人は世の中たくさんいます。だからこそ、この映画は日本人に響くものがあると思うのです。だから、フーシの細やかな幸せに満足できるかどうかがこの映画に希望を見出せるかどうかなのではないでしょうか。
普遍的テーマ 日本だけじゃない 社会的なストレス
面白いポイントとしては、ここで描かれている人間の内なる問題というのは万国共通だという事です。
アイスランドと言う日本からは程遠い国の人たちが、日本でも恒常的にありそうな家族の問題、心の病の問題、いじめの問題で悩まされています。これは普遍的であり、人類皆が共通して向き合っている根深い問題なのだと知る事ができました。
あるいは、何十年も前に日本で作られた黒澤明の名作「生きる」をみている様でした。場所も年代も違うのに、そこにある普遍的なテーマがあるのです。
国境を超えたところに同じような類の問題が存在している事を知るのはとてもいいことです。
なぜなら、視野が広がるから。
4月も過ぎて世の中には日本では新入社員の人たちが社会に飛び出してしばらく経ちました。成功したと信じて、夢に見ていた職場での仕事をスタートさせた人もいれば、不本意なスタートとなった人たちもいるでしょう。そういった人たちも、社会に出てみると、何とストレスが多いことか!と嘆いている人、絶望している人もいるかもしれません。
しかしながら、その様に感じているのは、同じ会社の同僚だけでなく、通勤電車で乗り合わせる人たちなど世の中にはたくさんいます。そして、それは海や大陸を超えた海外にも人生の困難と思われることに対峙している人たちがいるのです。
それを実感できるのがこの映画の良さだと思いました。これは、ストレスの度合いが高い社会に生活している日本人だからこそ共感できる部分ではないでしょうか。
殻を破る 我慢や絶望から逃げる
フーシはとても優しくて強い人です。
彼は、空港で働いているのですが、毎日何百人の人たちがその空港から飛び立っていく姿を見ています。でも、それはただ見ているだけで自分がその飛び立つ側になることを考えることも夢にも思いません。
この映画が心を打つのは、人は殻を破れるという至極全うな姿を描いているからです。
辛い環境であったとしても、一歩踏み出してもいいんじゃないかとそっと背中を押してくれるのです。もちろん、我慢せずにそこから逃げ出して良いです。逃げ出すという表現は適切ではないかもしれませんが、必要以上な責任感や思い込みに翻弄される必要はないということです。
Getbusylivingworlは海外での生活が長い中で、日本社会で現在もまれています。
そして、その中で、世間という実態のないものに押しつぶされている人たちに出会いました。特に大学生など若い世代の方は、社会に出ることにワクワク感を感じずに、プレッシャーに押しつぶされそうなギリギリの人たちがたくさんいます。
フーシは40代で大学生の方達にはまだピンとこないかもしれませんが、20代だろうが40代だろうが自分が少しでもハッピーになるために自分のための選択をしても良いのです。とにかく、辛いときは逃げましょう。
この映画の作り手がそのような視点でこの映画を作っていたのか定かではありませんが、アイスランドという国で描かれる世界がそのまま日本にもピタッと当てはまるので、非常に説得力がありました。
ちなみに、私にはたまたまアイスランドにいるアイスランドに永住した南米出身の友達がいるのですが、早速この映画の評価を聞いてみました。が、全くこの映画を知らないと言われてしまいました(笑)意外にこんなものでしょうか。。。
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